痛快! 病ンデレラの逆襲
「いやだ、そんなに見つめないでよ」
夢子がクスクス笑い、急に真面目な顔になる。
目の錯覚? 彼女の背に黒いオーラが見える。
ゾワッと背筋に寒気を感じ、ゴクンと唾を飲む。
「私、我慢ならないのよね」
マグカップを両手で持ち、フーフー冷ます夢子が低く暗い声で言う。
「女性として生まれたのに、それを楽しまない人を見るのが」
なるほど、夢子の美に対する思いは、自分のみならず他人にも向けられていたのか。
ちょっと有難迷惑だな、と心の中で呟く。
だが、そんな私の思いなど全く気にする様子もなく、夢子はさらに強く戒める。
「特に、貴女みたいに美しいのに、それを放棄しているみたいな人が!」
マグカップに口を付けながら、私を見る眼がキツク光る。
恐っ!
そうか、だから会うたび、いつもイラついた顔をしていたのか。
私が原因だったわけだ。
でも、美しい? 私が……?