痛快! 病ンデレラの逆襲
「別にお話するような内容ではありません」
でも、私は屈しない。
お千代さんが口をきいてくれないのです。などと子供のような泣き言は口が裂けても言えない。だって、この社長だもの。後々、何を言われるか分からない。
「フーン、言わないつもりか」
しかし、社長は私の斜め四十五度上をいっていた。
突然、長い両腕がニューッと伸び、その手が私の頬をムギュッと抓んだのだ。
頬と唇が真横に引っ張られ、きっとメチャクチャ変顔になっている。
「やめてくらはい」
「じゃあ、言うか!」
「いやれす」
社長の顔が悪代官になる。
フフンと鼻で笑い、そうかそうか、と妖しく瞳を光らせる。
「じゃあ、店員が来たら、この顔を写メしてもらい、社の掲示板、及び、来月の社月報に載せてもらう」
何ですと~! そんな変顔が世に晒されたら、もう一生、素顔で社を歩けない。イヤ、社どころか表を歩けない。裏街道まっしぐらだ。それは阻止せねば。