痛快! 病ンデレラの逆襲

「あらぁ。お帰りなさい」

午後五時半。今日はスケジュール的に暇だった。
社長から「もういいぞ、家に帰って待て」と定時きっかりに言われ帰宅すると、メープル荘の前に、今日は梨子がコンビニの袋を手に立っていた。

会う時は続けて会うんだな、と思いながら、「ただいまです」と頭を下げる。

「昨日、楽しかったわね。また、飲みましょうね」

梨子がフワァ~と欠伸をする。

「あっ、失礼! あれから目が冴えちゃって、徹夜しちゃった」

三十三歳のテヘペロだが、実に可愛い、癒される。

そこでアッと気付く。
ちょうどいい、彼女に聞いてみよう。

「あのぉ、ちょっと教えて頂きたいのですが……夜遊びの衣装ってどんなのでしょう?」

「ハァー? 何それ、どういう意味?」

そこで私は業務命令について説明する。
梨子の顔がどんどん甘く崩れ、目が爛々と輝き出すのは……何故だろう?

「ありがとう、眠気がブッ飛んだわ。了解! いわゆるデートの衣装ね!」

デート? 何か勘違いしていないだろうか?

「任せて! で、お迎えの時間は何時?」
「はあ、八時です」

本当に任せていいものだろうか?

「じゃあ、まだ時間あるわね」

私の手首を掴むと「行くわよ」と昨日に続き、今日も強引に引きずられる。

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