痛快! 病ンデレラの逆襲
夕飯を終え洗い物していると、ピンポーンピンポーンと微かにチャイムの音が聞こえ、耳を澄ます。
ん、お隣?
鳴り止まぬチャイムの音に、どうしたものか、と思案する。
それは二軒とも留守だと知っていたからだ。
後一分鳴り止まなかったら、仕方ない、出て行って留守だと教えてあげようと時計を見つめる。
午後七時三分……四分……五分……。二分経ってもやっぱり鳴り止まない。
仕方なくドアを開ける。
表には出ず、顔だけ出し、左右に首を振ると梨子の部屋の前に男性が一人立っていた。
「あのぉ、出口さん、お留守です」
男性は急に声を掛けられ、ビックリしたようだ。エッという顔でこちらを見る。
「あっ、すいません。うるさかったですね。そうですか。また、空腹で倒れてるのかと」
こちらに歩み寄って来たので、身の危険を感じドアを閉めかけると、慌てて男性が声を掛ける。
「あっ、僕、怪しいものではありません」
そして、懐に手を入れ、名刺入れを取り出す。