痛快! 病ンデレラの逆襲
「それとこれとは別だ。指輪はお前のために作ったと言っただろ。ただ、渡すタイミングが変な時だったってことだ」
なら、どんな時に渡そうと思っていたのだ? 今一理解できない。
「それよりもですね、彩萌お嬢様は……無邪気? 天衣無縫? な人ですね。肉親に呆気らかんとカミングアウトしちゃうって、凄くないですか?」
それも、あの恐ろし気な総帥に……。
「それよりもって何だ! 重要な話を軽く流すな。言っているお前の方こそ、毒を持つ天真爛漫な小悪魔だ」
またとっても酷いことを言われたような……。
フンとそっぽを向き、右手で指輪を外そうとすると、社長の手が伸びその手を止める。
「まだ嵌めておけ。それから、仕事がない時はいつも嵌めておくんだぞ」
ギュッと手を握り、その手を口元に持っていくと、また指輪の上に口づけする。
「しゃっ社長! お芝居は終わった筈では」
「バカか、そんなにすぐ止めたら、怪しまれるだろう。それに今頃、あの受付嬢たちのSNS経由で、あちこちに噂が広まっているだろうな」
ヘッ! 何ですとぉぉぉ!
「よって、お前はこれからズット俺の婚約者だ」
悪魔のように微笑む社長。
この時初めて『青天の霹靂』の本当の意味を知った、と思った。