痛快! 病ンデレラの逆襲

「もしかしたら、ミズ・ミミが女性になったから、ジ・エンドってこと?」

カチャンと要子はソーサーにカップを置くと、ようやく核心に触れ始める。
夢子が愁いを秘めた笑みを浮かべる。

「それは別れた後のこと」

えっと、今までの話は……。
ミズ・ミミは元男性で、夢子と付き合っていた。でも、別れた。

「女同士になっちゃったら別れるわよね、一般的には……たぶん。でも、彩萌お嬢様は同性が好きらしいし、本当、愛って深いなぁ」

「そうよ、様々よねぇ。女が女をなら、男が男をも、ありってこと」

ハイ? と見ると三人がこちらを見ている。
ウワッ、心の声が漏れていたようだ。

「ねぇ、あえて聞くけど、女同士って誰と誰のこと?」

梨子が訊ねる。

「それは、えっと、夢子さんとミズ・ミミさん?」

質問の意図が分からないので、あえて疑問形で答えてみる。
すると、三人が埴輪になってしまった。
そして、一拍置くとお腹を抱え笑い出した。

「もう、姫、すっごくカワイイ! ありがとう。女性として見ていてくれて」

夢子が私に抱き付く。
ハテ? 今の言葉に違和感が……何処が……だ?
フローラル系のいい香りが夢子からする。本当に乙女だ、と思っていたら……。

「あのね、夢子は男よ」

一瞬時間が止まる。
『男……おとこ……オトコ……』山びこのように頭の中をエコーする。

要子が口元を押え、笑いを堪える。

「まっ、そこいらの女の子より女の子らしいけどね」

そこでようやく我に返る。

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