痛快! 病ンデレラの逆襲
「ウソッ!」
「本当」
夢子が腕を解き、私と膝を突き合わす。
「私、小さな頃からヒラヒラのワンピースが好きで、お姫様に憧れていて。王子様が好きなの」
ちょちょっと待って! 話に付いていけない。
目の前にいるのは女の子で、決して男の子には見えない。
パチクリと目を見開いている間に夢子が話の続きをし出す。
「私、こんなでしょう。でも彼、それでもいいって、愛してくれたわ……」
女神のように微笑む夢子はとても幸せそうに見えた。
「でも、三年前、ジュエリーデザイナーとして一人前になりたい、と言って突然部屋を出て行っちゃったの。何か月待っても帰って来なかったわ」
あららぁ、と梨子が顔を歪める。
「で、その後、皆さんご存じのミズ・ミミとなって世に現れたってわけ」
物凄くややっこしいんですけど。
「彼、女装癖はなかったのに……」
「じゃあ、どうして女装?」
夢子は首を振る。
「とにかく、フラれたと自分を納得させたの」
そして、悲し気に笑う。
アッ! あの時のダメ出しは……。
『私、我慢ならないのよね』
『女性として生まれたのに、それを楽しまない人を見るのが』
『特に、貴女みたいに美しいのに、それを放棄しているみたいな人が!』
戸籍上、女性と認められている故のお叱りだったんだ。