痛快! 病ンデレラの逆襲

「う~ん、気持ちイイ!」

要子が大きく伸びをする。
分かるような気がする。薄っすらと汗をかいた体がポカポカして、気怠いが、いつもより軽く感じる。

「本当、久し振りにいい汗かいたわぁ」

梨子の額の汗が日を浴びキラキラ輝く。

「五十分ほどのウォーキングだったら、それほど苦じゃないでしょう」

夢子の視線が梨子に向く。

「これを毎日じゃなくてもいいから続けることが大切なの。それから、ダラダラと歩くんじゃなく、今日みたいにテンポよく歩くの。分かった、梨子ちゃん」

「了解! この冬は脱プクプク! 脱肩こり! 頑張ります!」
「あらっ、あれ誰?」

梨子の敬礼と共に、要子の視線が百メートルほど先のメープル荘に向く。

遠目でも分かる均整の取れた体に、細めのブラックジーンズ、白いタートルネックのセーター、そして、白いニットガウン。おまけにサングラスにニット帽。

その人が白のBMWに寄り掛かり腕を組み空を見上げていた。
一枚の絵画だ。ただ、惜しいことにメープル荘の前だ。

「何あの人、スーパーモデル?」

梨子は自分のスタイルと比較し、羨まし気に呟く。
その気持ち、分からなくもない!

近付くに従いハッキリとするシルエット。
向こうもこちらに気付いたようだ。ゆっくりサングラスを外す。

「アッ!」夢子が小さな叫びを上げ、立ち止まり、固まる。
美形がこちらに近付いてくる。そして、夢子の前に立つと、いきなり夢子を抱き締めた。

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