痛快! 病ンデレラの逆襲

「どうして、殿宮社長のことをご存じなのですか?」
「彼のことを知っているのは母」

私の問いにミミが首を振り言う。

「私はそのデザイン画を見ただけ」

ミミが私の手を取り、指輪を見つめる。

「貴女のイメージに合わせて作られたから、実際に嵌めると体の一部のようにピッタリね」

ミミが大きな溜息を付く。

「こういう作品を見せ付けられると、私なんてまだまだだと思ってしまうわ」

夢子が腰を捻り振り返る。

「何自信のないこと言ってるのよ!」

そして、肘鉄を食らわせる。ウッと唸りミミが夢子の肩に顔を埋める。

「私を放っておいて一生懸命修行したんでしょう。もっと自信を持って頂戴!」
「夢ちゃん」

ミミの両腕が肩越しにギュッと夢子を抱き締める。

「いつもありがとう。夢ちゃんの応援があるから、私、頑張れるのよ」

夢子の頬が真っ赤になる。
梨子と要子が顔を見合わせ、ニシャリと笑う。

「じゃあ、そろそろ私たちはお暇しましょうか」
「そうね、姫、帰るわよ」
「あっあの……」

帰る前に一つだけ聞いておきたいことがある。

「どうして、社長の依頼を奏カナさんは受けたのでしょうか?」

< 97 / 165 >

この作品をシェア

pagetop