Disposable Destruction
「もう引き返せなんて言わないでよね!」

ハルはアクセルをベタ踏みして、タスクフォースの部隊から遠ざかる。

追跡が来る前に、出来る限り離れなければならない。

「…ウチのサブリーダーも、なかなか分かってきたらしい」

呟くニコライを、ハルは恨めしそうに見た。

「で…」

血塗れの顔を庇う事もなく、アランはバニングを見る。

「俺は捕虜か?拷問でヒューの居場所を吐かせようってんなら、生憎と奴が何処に逃げたかは分からん」

「ああ、そうだろうな。傭兵が依頼人の情報を吐くようじゃ失格だ」

何とか当面の安全が確保されたのを確認し、バニングは葉巻を口に咥えた。

「じゃあ、何の為に助けた?まさか道義心とは言うまい」

懐疑に満ちた視線で、バニングを見るアラン。

「金の話をしよう」

バニングは、紫煙をくゆらせながらアランに持ち掛ける。

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