Disposable Destruction
5メートル間隔、物音を立てない。

ジャングル進軍のセオリーを踏まえながら、トライデントとスティングレイは追跡を続けていた。

本来は地中海やアフリカを担当地域とするSEALチーム8の2人。

しかし、知らない土地に赴いたとて、彼らの能力は些かも見劣りする事はない。

陸海空如何なるフィールドでも、その能力を発揮できるのがSEALだ。

最強の特殊部隊の候補に必ず挙げられるのは伊達ではない。

その進軍が。

「……」

トライデントのハンドシグナルによって止められる。

歩みを止めるスティングレイ。

トライデントは、静かに周囲を見渡す。

…何だ、この違和感は。

辺りに敵の姿はない。

気配もない。

なのに何だ、この異質な感じは。

説明は出来ないが、何かを感じる。

このまま見過ごしてはならない、しこりのような、引っ掛かりのような『嫌な感じ』。

それを払拭できないまま、進軍を再開出来ずにいると。

< 54 / 142 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop