Disposable Destruction
「ぐぅっ!」

「ぬぅぅぅ!」

お互いの首を摑み合い、凄まじい形相で睨み合う2人。

互いに感じ取っていた。

コイツは、この男は、ただ金や復讐心だけで戦っているのではない。

確固たる信念や、自身のポリシーに則って、この血みどろの戦いの世界に身を置いているのだ。

戦いしか能がないから、いい金になる商売だから。

そんな理由で殺し合いの世界にいるのでは、決してない。

激しい殴り合いを演じながら、そんな意思の疎通が出来ていた。

敵ではあるが、私怨はない。

バニングが追っているのはアランではなくヒューだし、アランはヒューの護衛としてついているだけだ。

お互いに何の怨みもなかった。

立ち位置さえ変われば、この2人は殺し合う理由さえないのだから。

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