鬼麟
「はぁ!?」

ご丁寧にもリップ音付きのそれに狼狽える私に、蒼は何の気なしに言い放つ。

「さっきは邪魔が入ったしね。あれ? やっぱり口の方が良かった?」

どうしよう、もう何を言ってるのかわからない。

キャパオーバーだ、お手上げだ。

睨み付ける私を無視して彼はそれじゃあと、躊躇いなしに扉を開けた。一気に風が吹き抜け、眩しさに目を細める。

関わりたくない、関わらないと決めた私の決意をどうしてこうも無碍にされなくてはならないのか。私の声など届かないとばかりに無情にも、決意の心は粉々に打ち砕かれる。

外の光に慣れた目に入るのは、三人の男の姿。
降ろされたならば、今度は絶対に追い付かれることのないように、全力で逃げようと心に決める。そしてもう、二度と関わってこないように、距離を置き、近付かないようにしないと。

「遅い」

三人の内の銀髪――レオは、呆れたように言った。それに対して蒼は平謝りしながらも、ゆっくりと私を地面に降ろす。
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