鬼麟
「はいはい、お話はその辺で」

手を叩いて無理やり話を割ったのは、黒い髪の男。このカラフルな髪色ばかりが目立つ学校では珍しいその毛色。

訝しげに見つめれば、微笑みを返されて余計に怪しんでしまうのは色々とあったからだ。

「勝手ですけど、自己紹介させてもらいますね」

そういうの、結構です。

知り合いになりたくないばかりに顔に露骨に出ていたらしく、黒髪は苦笑しつつも口を開いた。

「俺は3-S、深景 倖です。狼嵐の副総長を務めてます」

年上なのに腰の低い、敬語を話すが、その苗字にどこか聞き覚えがある。思い出すよりも先に彼は、「あなたの担任の弟です」と、考えを汲んでくれた。

そう言われれば、似ているような気もしなくもない。けれど、どこが似ているかと聞かれても、分からないところが微妙だが。

次は、と倖がその隣の男へと促すが、無愛想なのか無口なのか、気だるそうにも見れる態度。

「……霧島 修人」

恐らく彼も3-Sなのだろう。その目付きの鋭さに、勘が鋭そうで嫌だなと思う。

その口数足らない自己紹介に、倖は補足として彼が総長なのだと付け加えるが、特に驚きもなく曖昧に頷くだけの相槌を取る。
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