鬼麟
それに、今日は天気がすこぶる良い。
五月中旬の快晴日。桜もとうに散り終わり、青々とした芽が新緑へと変わり、学校の桜も青かったと思い浮かべる。
きっと、あちらもとうに新緑に変わったのだろう。脳裏に浮かぶのは、学校ではなく、あの場所の光景が鮮明に浮かび上がる。
小さい頃はあの桜を見て育った。もう戻れぬ場所、戻りたいとも思わぬ場所。そこに現れるのは私を押さえ付ける大きな手。
これ以上は駄目だ。震える右手首を抑え、傷が疼くのに舌打ちをする。
馬鹿な私に、使い物の日々。すべては自分のせいだというのに。
いつの間にか荒い呼吸になっていて、何度も落ち着けと心の中で唱える。次第に治まる震えとともに安らぐ呼吸。
また外界に意識を戻せば、いつの間にやら校門の前へと辿り着いていて、この学校のセキュリティについて心配になる。というのも、開けっぴろげになったままの門が目前にあり、来る者拒まずといった雰囲気だ。
一度立ち止まってしまったものの、躊躇いなくくぐり抜ける。閉めなくていいのかと、考えるものの結局閉めることはしなかった。
五月中旬の快晴日。桜もとうに散り終わり、青々とした芽が新緑へと変わり、学校の桜も青かったと思い浮かべる。
きっと、あちらもとうに新緑に変わったのだろう。脳裏に浮かぶのは、学校ではなく、あの場所の光景が鮮明に浮かび上がる。
小さい頃はあの桜を見て育った。もう戻れぬ場所、戻りたいとも思わぬ場所。そこに現れるのは私を押さえ付ける大きな手。
これ以上は駄目だ。震える右手首を抑え、傷が疼くのに舌打ちをする。
馬鹿な私に、使い物の日々。すべては自分のせいだというのに。
いつの間にか荒い呼吸になっていて、何度も落ち着けと心の中で唱える。次第に治まる震えとともに安らぐ呼吸。
また外界に意識を戻せば、いつの間にやら校門の前へと辿り着いていて、この学校のセキュリティについて心配になる。というのも、開けっぴろげになったままの門が目前にあり、来る者拒まずといった雰囲気だ。
一度立ち止まってしまったものの、躊躇いなくくぐり抜ける。閉めなくていいのかと、考えるものの結局閉めることはしなかった。