鬼麟
蒼が、どこに行くのかと問いかける前に睨んでその言葉を制止する。私から出たものは殺気という名の拒絶。たとえ蒼やレオであっても、見えないなにかに縛られたかのように動けなくなる。

そりゃあそうだ。私はこれでも鬼龍を率いていた身なのだから。

「……確かにあなた達は人気者かもしれない。けれど、全ての人があなた達に好意を寄せるわけじゃないの。詮索ごっこなんて、鬱陶しいだけなの」

それはきっと彼等の固定概念でもあった。確立された地位は、誰ともなしに与えられる肯定を示される。けれどそれは単なる虚像だ。そこにあるのは虚構で、本物なんてほんの一握りのあってないような砂粒なのだ。

だから、私は。

それが肯定だというのなら。

「私はあなた達のこと大嫌い」

それらすべてを否定をする。

呆気に取られてか、はたまた私の殺気によるものか。否、両方だろう。動けない蒼とレオ置いて扉を閉めた。
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