鬼麟
目指す場所なく歩き始め、そんな私を嘲笑うかのように吹き込む風。ささやかな風は私の髪を弄び、穏やかに通り過ぎていく。
殺気、なんて出すもんじゃなかったという後悔に、今更苛まれる。何もかもいつだって“今更”が付き纏い、自身の行動の軽率さをより強く自覚させられ、行所のない憤りが燻る。
そんな宛もなく歩いていて、漸く見つけた暇潰し場所は、閑散とした図書室だった。
こんな学校でもやはりあるのか、と失礼な感想をしつつも、これは率直な感想であり、この学校の有り様を見れば誰しも思うだろうと、誰にするわけでもない言い訳を並べ立てる。自己弁護、というやつだ。
なんて、図書室を見つけたせいで博識ぶるが、大して私に備わるのは凡庸なものだけ。
躊躇いつつも扉に手をかけると、若干重くガラリと開いた。吹き抜けた窓から流れた風に乗り、本の香りが鼻腔をつく。
「おや、珍しいですね。来客とは」
カウンターで出迎えたのは、我らが担任である深景先生だった。
殺気、なんて出すもんじゃなかったという後悔に、今更苛まれる。何もかもいつだって“今更”が付き纏い、自身の行動の軽率さをより強く自覚させられ、行所のない憤りが燻る。
そんな宛もなく歩いていて、漸く見つけた暇潰し場所は、閑散とした図書室だった。
こんな学校でもやはりあるのか、と失礼な感想をしつつも、これは率直な感想であり、この学校の有り様を見れば誰しも思うだろうと、誰にするわけでもない言い訳を並べ立てる。自己弁護、というやつだ。
なんて、図書室を見つけたせいで博識ぶるが、大して私に備わるのは凡庸なものだけ。
躊躇いつつも扉に手をかけると、若干重くガラリと開いた。吹き抜けた窓から流れた風に乗り、本の香りが鼻腔をつく。
「おや、珍しいですね。来客とは」
カウンターで出迎えたのは、我らが担任である深景先生だった。