鬼麟
「幾らお前が関わる気がないと言っても、俺達はお前に干渉し続ける」

拒否権はない、その強引な一方的な押し付け。

どうやったって離れる気はないと、口にする。

そういえば、初めはあいつらともそんなふうにして打ち解け始めたんだった、と記憶の底から呼び起こされる。懐かしさが込み上げ、少しだけなら、と緩む私にそれは赦さなかった。

灼ける屋敷の中、私を庇って流れた赤が目に映る。もう渡せなくなったプレゼントが、赤を吸って重くなる。

「やめてよ、それじゃあ……それじゃあ被るの」

狼狽に震える声は、あの頃と何も変わってない。何も出来やしないのだと、耳元で囁く幼い少女の声に視界が狭まる。

私の目の前に歩み寄った修人が、あまりにも無意味なことを言うので笑いを堪えるのに必死だった。

「お前を一人にはさせない」

そっと触れたその手を、私はとうに見限っているというのに、ただの自己満足の偽善だと罵ることすら億劫に思える。

けれどせめて、そんな戯れ言は絵空事だと証明される日まで、と言い訳を見つけてその手に卑しくも縋ろうとする。
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