この恋を、忘れるしかなかった。
「今日はそろそろ帰る?雨やんだみたいだし」
わたしは、少しだけ明るくなった窓の外を見ながら言った。
「そうだね〜。リカちゃん先生泣かせちゃったし(笑)」
「美雪ちゃんのせいじゃないから。本当にごめんね」
美雪ちゃんに手を合わせて謝るわたし---そこには、本当のことを言えなくてごめんねという気持ちも添えて。
わたし達は「またね」と声をかけ合って、それぞれの帰路についた---。

車の中でわたしは、霧島くんのことを…想っていた。
"オレ、カノジョと別れたわ"
"本当に本当だから"
「霧島くん…」
わたしは、応えられないよ。
無理に決まってる…。
好きだけじゃ、どうにもならないこともあるから。

"歳が離れてるとか結婚してるとか…それって取ってつけただけの理由じゃん?"
"そうじゃなくて、そういう面倒なの全部取っ払ってよ"
"安藤梨花子はどう思ってるの?オレのこと"

「…っ」
好きに、決まってるじゃん…。





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