この恋を、忘れるしかなかった。
◇◇◇
「今日も来てたんですか?」
怪訝そうな顔でそう言ったのは美術部員の佐倉くん、その視線は霧島くんへと向けられていた。
"今日も"と言った佐倉くんの言葉通り、田宮さんと別れてからの霧島くんは、美術室と扉一枚で繋がっているこの準備室に、頻繁に顔を出すようになっていた。
「オレも絵を見てもらってるんだよね」
「…」
霧島くんの言葉をさらりとシカトする佐倉くんはまだ1年生---今の子は色んな意味で強いなと感心させられる。
わたしの頃は、先輩を無視するなんてありえなかったから。
ちなみに佐倉くんは、わたしのクラスの生徒でもあった。
「先生、描き終えたんで--、」
「あ、うん、すぐ行くね」
「オレのことはシカトかよー?」
「…美術部でもないくせに」
佐倉くんは霧島くんをチラ見してから、
「霧島サン噂になってますよ、安藤先生と仲良すぎる3年生がいる…って」
そう冷たく言い放ってから、戻って行った。
「じゃーオレも美術部に入るかなー」
「3年生はもう入部できないよ」
「あ、そっか。てかオレって絶対アイツに嫌われてるわ〜(笑)」
「あはは。佐倉くんのこと?あ、ごめん、わたし呼ばれてたから、ちょっと見に行ってくるね」
「はーい、気をつけて」
霧島くんは、わたしに手を振った。
ん?気をつけて?何に?
「今日も来てたんですか?」
怪訝そうな顔でそう言ったのは美術部員の佐倉くん、その視線は霧島くんへと向けられていた。
"今日も"と言った佐倉くんの言葉通り、田宮さんと別れてからの霧島くんは、美術室と扉一枚で繋がっているこの準備室に、頻繁に顔を出すようになっていた。
「オレも絵を見てもらってるんだよね」
「…」
霧島くんの言葉をさらりとシカトする佐倉くんはまだ1年生---今の子は色んな意味で強いなと感心させられる。
わたしの頃は、先輩を無視するなんてありえなかったから。
ちなみに佐倉くんは、わたしのクラスの生徒でもあった。
「先生、描き終えたんで--、」
「あ、うん、すぐ行くね」
「オレのことはシカトかよー?」
「…美術部でもないくせに」
佐倉くんは霧島くんをチラ見してから、
「霧島サン噂になってますよ、安藤先生と仲良すぎる3年生がいる…って」
そう冷たく言い放ってから、戻って行った。
「じゃーオレも美術部に入るかなー」
「3年生はもう入部できないよ」
「あ、そっか。てかオレって絶対アイツに嫌われてるわ〜(笑)」
「あはは。佐倉くんのこと?あ、ごめん、わたし呼ばれてたから、ちょっと見に行ってくるね」
「はーい、気をつけて」
霧島くんは、わたしに手を振った。
ん?気をつけて?何に?