この恋を、忘れるしかなかった。
「先生…?」
ふと顔を上げると…霧島くんの顔がすぐ近くにあることに今更気が付いて、緊張するわたしがいた。
夢中でケータイの画面を見ていて全然意識していなかったけど、わたしと霧島くんの距離は、ずっと近かったんだ。
「霧島くん、また嘘ついたのね〜」
「嘘じゃないよ。ホントにオレは、安藤先生の方がかわいいって思ってるから」
茶化し気味に言ったわたしに、霧島くんは真面目に返してきた。
その目は、真っすぐにわたしだけを見ていたーーー。
「そ、そう…」
面と向かって言われ、わたしは思わず目をそらした。
「うん」
ちらりと見た霧島くんは笑顔で、ケータイをブレザーのポケットにしまっていた。
「……」
さっきわたしは、霧島くんの彼女の写真を見てしまったのだ。
気まずい思いが、湧きあがる。
顎の辺りでくるんと巻いた栗色の髪の毛と、マツエクかな、目元のメイクが印象的で、顔の横でVサインをしている自撮りっぽいその写真は、すぐにわたしの中に記憶されてしまった。
ふと顔を上げると…霧島くんの顔がすぐ近くにあることに今更気が付いて、緊張するわたしがいた。
夢中でケータイの画面を見ていて全然意識していなかったけど、わたしと霧島くんの距離は、ずっと近かったんだ。
「霧島くん、また嘘ついたのね〜」
「嘘じゃないよ。ホントにオレは、安藤先生の方がかわいいって思ってるから」
茶化し気味に言ったわたしに、霧島くんは真面目に返してきた。
その目は、真っすぐにわたしだけを見ていたーーー。
「そ、そう…」
面と向かって言われ、わたしは思わず目をそらした。
「うん」
ちらりと見た霧島くんは笑顔で、ケータイをブレザーのポケットにしまっていた。
「……」
さっきわたしは、霧島くんの彼女の写真を見てしまったのだ。
気まずい思いが、湧きあがる。
顎の辺りでくるんと巻いた栗色の髪の毛と、マツエクかな、目元のメイクが印象的で、顔の横でVサインをしている自撮りっぽいその写真は、すぐにわたしの中に記憶されてしまった。