この恋を、忘れるしかなかった。
「リカちゃん先生お疲れ様ぁ〜!」
2年3組の教室に入ると、美雪ちゃんが元気に迎えてくれた。

「ありがとう。まだやることあるから、あんまり時間ないけど」
わたしは美雪ちゃんの向かいに座ると、紙袋をゴソゴソとあさって、2人にチョコレートを手渡した。

「わぁ!ありがとう!かわいい箱だね、ねっ恵都」
「うん、ありがとうリカちゃん先生!でもなんであたしの箱の方が小さいの?」
恵ちゃんは、美雪ちゃんのチョコレートの箱と比べて、自分の方が小さいことに気付いていた。

「ホントだぁ。やっぱアレだよ、愛情の差!」
「あはは、違うよ。それはね…、」
わたしは笑いながら、2人の会話に割って入った。

「愛情っていうなら、オレらには特大チョコじゃね?」
「言えてるー」
ちょうど通りかかったのだろう男子生徒たちが更に割り込んできて、廊下から顔を出してこちらを見ていた。

それは、甲斐くんと藤井くんと、
「オレのもある?安藤先生」
霧島くんだったーーー。

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