この恋を、忘れるしかなかった。
「あ、あるけど?特大チョコじゃないけどね。余り物でよければどうぞ(笑)」
わたしは3人に、ポンポンとチョコレートを手渡していった。

「…」
霧島くんとわずかに触れた指先が、だんだんと熱を帯びてくる。

「余り物かよー。じゃあお返ししなくていいじゃん、ラッキーだなオレらって」
「確かに。もらってあげた感じ(笑)?」
甲斐くんのその発想に藤井くんが相づちを打つけど、わたしの頭にはほとんど入ってこなかった。

指先が、じんわりとあたたかくなって、わたしの思考能力が低下する。
ちらりと見た霧島くんは、笑顔でみんなと話していた。

恵ちゃんも余ったチョコレートを3人にあげていて、霧島くんもそれを受け取っていた。
それを見て、彼女からチョコレートを受け取る霧島くんの姿を想像して…すぐに掻き消すわたし。

「…」
なにやってんのよ……。

「ねぇねぇ、恵都のって手作りだよね⁈意外ーっ」


< 73 / 123 >

この作品をシェア

pagetop