この恋を、忘れるしかなかった。
美雪ちゃんが、恵ちゃんが作ったチョコレートの包みを開けて、ぱくんと口へ放り込む。

「うんうん、この素朴な味がいいわね(笑)。手作り感満載!」
「なによ、意外や素朴で悪かったわね」
恵ちゃんが、ボソボソと恥ずかしそうにしていた。

「でもオレ、手作りとか初めてかもー。フツーにウマそうじゃん」
「そぉなんだ、藤井くんモテそうなのにね」
藤井くんの言葉に、美雪ちゃんが突っ込む。

「ま、それなりに?でも基本もらわねーからな、オレは」
「自分でモテるとか、やなヤツー(笑)!」
「あはは!」
「間違いない!」
美雪ちゃんの一言に、みんなから笑いが起こる。

そんな中、わたしはひとつの異変に気がついた。
恵ちゃんの顔がどんどん赤くなって、それに加えて落ち着きがないのだ。

「あ、オレ行かなきゃ」
もしかして……と想像を膨らませていると、霧島くんの声がわたしを現実へと引き戻す。

「響はカノジョにチョコもらいに行くんだろ?いいよなー彼女持ちは」
「別に…冷やかすなよ」
甲斐くんの冷やかしを、さらりと交わす霧島くんだった。

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