この恋を、忘れるしかなかった。
◇◇◇


4月ーーー新しい風が流れる新学期。

今年度もわたしは、2年生と1年生の半分の美術の授業を担当することになった。

3年生になった美雪ちゃんや恵ちゃん、それから霧島くんたちの授業をみることはなくなって、みんなとの接点が減るかと思いきや、
「今年もリカちゃん先生の授業が良かったなぁ〜、超残念!」
「あの先生、何言ってるかさっぱりわかんないんだよね。ゴニョゴニョさぁ。ね、美雪?」
「そぉそぉ」
「あはは。ありがと、2人とも」
その分放課後の女子会(?)の頻度が増えて、意外とそうでもなかった。

「美雪、ほっぺた膨らませすぎ。フグみたい(笑)」
「フグ⁈せめてリスとか言えないの?」
ぷーっとほっぺたを膨らませた美雪ちゃんを恵ちゃんがからかい、それに反論する美雪ちゃん。
そのやりとりを見て、笑うわたしーーーここまでは、いつもの流れ。

「リカちゃん先生うぃーっす!菓子くれ!」
ガラガラと音を立てながら開いたドアの向こうには、藤井、甲斐、霧島ーーー3人分のやんちゃな笑顔があった。


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