この恋を、忘れるしかなかった。
変に意識しすぎてまともに霧島くんの顔を見れなくなったわたしは、うつむき加減で声をかけた。
「スケッチブック、ある?」
「え⁈あ、スケッチブック⁈ごめん、職員室だけど…どうする?」
「じゃあ明日でいいや」
忘れ物って、このことだったのかな…。
霧島くんは、くくくと笑いをこらえたような声を出しながら、そのままわたしの方へ近づいてきた。
「安藤先生、やっぱかわいいね。今度先生のこと描かせてよ」
何言ってんの、霧島くんは。
からかうのもいい加減にしてほしい。
そう声を大にして言えばいいのに、
「や、やめてよ…わたし絵のモデルなんか…」
ドキドキしすぎて、それどころじゃなかった。
いつも霧島くんにペースを乱されて、からかわれっぱなしで毅然とできないわたしって、最悪だ。
しっかりしろ、梨花子。
「でもオレは、描きたいんだ」
そんなわたしとは真逆で、堂々としている霧島くんのその真っすぐな瞳は、優しく強く、わたしを捕らえて放さなかった。
「スケッチブック、ある?」
「え⁈あ、スケッチブック⁈ごめん、職員室だけど…どうする?」
「じゃあ明日でいいや」
忘れ物って、このことだったのかな…。
霧島くんは、くくくと笑いをこらえたような声を出しながら、そのままわたしの方へ近づいてきた。
「安藤先生、やっぱかわいいね。今度先生のこと描かせてよ」
何言ってんの、霧島くんは。
からかうのもいい加減にしてほしい。
そう声を大にして言えばいいのに、
「や、やめてよ…わたし絵のモデルなんか…」
ドキドキしすぎて、それどころじゃなかった。
いつも霧島くんにペースを乱されて、からかわれっぱなしで毅然とできないわたしって、最悪だ。
しっかりしろ、梨花子。
「でもオレは、描きたいんだ」
そんなわたしとは真逆で、堂々としている霧島くんのその真っすぐな瞳は、優しく強く、わたしを捕らえて放さなかった。