GENERATIONS LOVE
オーナーのおまかせで、更には大盛りのパスタを平らげ、食後のエスプレッソを飲みながら一息付く。
俺を見据える木村の視線に気付き、目を合わせる。


「…何?」


「んー、俺に聞きたいことあるだろ?」


聞きたいこと?
数秒考えて、思い付く…が、それを素直に口に出すことは、木村相手では憚られる。
そして何より、認めてしまうことが怖い。
今までの自分じゃないから。
それでもやっぱり気になる。
木村にとって、特別な相手ならば…
芽生えかけたこの気持ちを捨てなければならない。
言葉は発せずに、たた真っ直ぐに木村を見る。


「へぇ…良い顔すんね…ま、ダチ歴3年目にし
て今日は色んな神山の顔を見れたことだ
し、教えてやるよ」


一度言葉を切った木村。


「真琴ちゃんは、俺の姉貴の中学からの友
達。そして、俺の初恋の人…初恋っっても
小学の時な」


友達という部分に安心して、初恋と聞いて落胆する。


「分かりやすいくらい、顔に出てるぞ。心
配すんな!初恋は初恋だ、今も、じゃな
いから」


俺の表情を読み取って、笑いながらそう言う。
『今も』じゃないことに安堵しつつも、
やはり払拭出来ないものがある。


「思春期真っ只中の15歳の女の子に、8歳の
ガキが相手になるはずないけど、22歳の
男が29歳の女を射止めることは、出来る
んじゃないの?」


いつになく真面目な木村。
面白がってる部分がないとは言い切れないが、多分…心配してくれている。
それが分かるから、俺は心の中の迷いや戸惑いを話そうと思った。
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