GENERATIONS LOVE
背中を強打し、上手く空気が吸い込めず、
むせる。


『…ぐっ、っげほっ』


折角美味しかったものが、逆流してきそうな感じで、気持ち悪い…


『…ちょっ…何で此処に居るの!?もしかして
つけてたのっ!?』


『当たり前だろっ‼前から約束してたのを、
いきなりドタキャンしやがってっ‼
それでなくても、最近様子がおかしかっ
たのを、俺が気付かないとでも思ってた
のかっ!?』


相手の男は怒りの形相で俺を睨み付ける。


もしかしなくても、修羅場…だよねぇ。
未遂とはいえ、
キスしようとしてた訳だし、
はぁー…面倒くせぇーな…


『お前が美樹をたらしこんでる奴かよっ‼
顔が良いだけの男が人の女にちょっかい
かけてんじゃねぇっ‼』


いやいや、ちょっかいかけられてたの、
むしろ、俺の方…
つーかさ、
顔が良いだけの男になびく彼女を、
ちゃんと繋ぎ止めれんあんたはどうなの?
と、心で悪態ついてはいるが、
火に油なので口には出さない。
何も言わない俺に痺れを切らしたのか、


『何とか言ったらどうだっ!?』


と、拳を俺の顔目掛けて繰り出そうとしている。


顔はマジで勘弁してくれっ!
でも、避けたらそれはそれで後々面倒か…
等と悠長に考えていると、
相手の拳を、俺の顔の前で受け止める手の甲が見えた。
そのまま、相手の拳を引いて、何の力も入れずに押し出すと、相手の男は物凄い勢いで反対側の壁に叩きつけられる。


『事情はどうあれ、何でも暴力で片付ける
やり方は良くないんじゃないか?』


そこには、
持っていた買い物袋と、荷物を放り投げ…
先程見せていた笑顔とは違う、
無表情の神山がいた。
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