GENERATIONS LOVE
表通りに出た所で足を止め、振り返る。


「出過ぎた真似かもしれませんが、
送ります。こんな時間ですし…」


「お気持ちは…有り難いんですが…私の家、
ドルチェからすぐ近くですし…大丈夫です
よ !」


こう、やんわり断られることも、予測済みの俺は…更に畳み掛ける。


「週末は…平日より閉店が遅いので、
方向が大体一緒の男性スタッフが、
女性スタッフ送ってくことになってるん
ですよ。谷山も茜ちゃん送ってくし…
俺の家も、ドルチェの近くなんで…
あと…送りがてら話したいことがあるの
で…」


「…でも…」


困惑の表情の香坂さん…。
話があるのも、本当だけれど…
一番の理由は、そこじゃない。
重たい奴だと思われるかも…
だけど、1歩も譲れないなら…言うしかないか…


「俺が……心配なんです。ここで別れて、
夜道で香坂さんに何かあったら、絶対に
後悔する。そうならないためにも…
俺に、送らせてくれませんか?」


真剣に心の内を伝える。
俺の言葉に、納得してくれたのか…


「……そういうことなら……
宜しく…お願いします…」


そう、了承してくれた。


「いえ、俺の方こそ…
俺の我が儘に付き合わせてしまって…」


律儀に頭を下げられ、強引だった俺もつられるように頭を下げる。
だから…この瞬間の香坂さんの表情が
どんなふうになってたかなんて…
俺は気付かなかったんだ…
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