GENERATIONS LOVE
【side 修二】


今日ドルチェは定休日で、19時から真琴さんの歓迎会が予定されている。
日曜日の今日は、大学も休みで…
他にすることがない俺は、部屋の掃除や片付けをしながら、昨日のことを思い出していた。


真琴さんを泣かせてしまった事実…
直接的にしろ、間接的にしろ…
俺の告白が引き金なのは、確かだろう。


ピーンポーン


物思いに耽っていると、現実に引き戻すように、家の呼び鈴が鳴る。


ドアスコープから来訪者を確認し、ドアを開ける。


「…何なの?お前…」


「開口一番にその台詞は、
ないんじゃねぇ?」


「木村だから良いだろ」


そう言って来客用のスリッパを床に置き、リビングに戻る。


「いやいや、せめて朝の挨拶くらいあって
も、良くねぇ?」


輕口を叩きながら、俺の後に付いてくる。


「…つーかもう、朝じゃないし?
大体、日曜日にお前が俺んち来るのが
珍しいんだよ。
デート三昧の木村くん?」


「…まぁ、そう言われても仕方ないけど、
そういうの、もう辞めた。つーか、バイト
自体辞めたから」


ソファに腰掛け、淡々とそういう木村。


「…何か…あった訳?」


木村の口からそんな言葉が出てくるとは思わなかった。


「お前と…同じ…かな?…それより、
何か食わして!起きたら誰も居なくてさ
…腹空いて死にそう…」


「…ここまで来るくらいなら、買って食うな
り、外で食うなりする方が死にそうな思
いは回避出来たと思うが?」


「日曜までコンビニ利用したくねぇし、
外食も考えたけど、ドルチェ休みだし…
どうせなら、旨い飯食いたいし!
だから、何か食わして」


「はあー…」


深く溜め息を吐いて、キッチンに向かう。
自分の都合を人に押し付けている自覚は…
こいつにあるんだろうか…?
10分程度で炒飯とスープを作り、木村の前に出す。


「いっただきまーす」


両手を合わせ、炒飯に食らい付く。山盛りの炒飯が、物凄い勢いで無くなっていく。


「…どんだけ腹空かせてんだよ…」


「超うめぇ!マジ旨いっ‼来て良かった~」


んな、絶賛するものでもないだろう?
木村が食べ終わる頃合いをみて、珈琲を入れる。


「ご馳走さまでした」


空いた皿を片付け、
コーヒーカップを置く。


「自分の家で、俺に給仕させんの、
お前くらいだわ」


「何々?それって俺が特別ってこと?」


「そうだな!特別厚かましいってことだ」


俺の返答に笑いながら、
コーヒーカップに手を伸ばす木村。


「…んで、何か進展あった?」


木村が何を指してそう言ったか、
すぐに分かり…


「昨日、告白した」


「っ!?ぐっ…げほげほげほっ‼」


俺の言葉に、盛大に噎せている木村。
まぁ…そうなるか…
木村にタオルを手渡す。


「…珈琲、めっちゃ変なとこ入った…
つーか、聞いてないし‼」


「言ってないし…
つーか、昨日っつたろ?」


詰め寄る木村に、平然とそう返す。


「…で…?」


「……泣かれた…
というか、俺が泣かしたんだろうな…」


『…でも、私…私は…修二くんに、想っても
らえるような…好意を向けてもらえるよう
な…そんな立場じゃないんです‼』


俺の告白に対して、そう言った真琴さんの
言葉を思い出す。


「…つーか、詳しく教えろ」


木村が前のめりになり、そう俺に詰め寄ったのは、言うまでもない。
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