GENERATIONS LOVE
【side 修二】
木村に黙って付いて来たが…
目的地に着き、呆然とする。
どう見ても此処は…
「なぁ…男ふたりで来るとこじゃないんじゃ
ないか?」
「そうだな、俺も神山とふたりだけなら、
遊園地には来ねぇわ。
ほら、フリーパス」
俺が呆けてる間に、どうやら買ってきたらしい。
「つーか、金払う」
いくらダチでも、奢って貰う訳にはいかない。
「いらない。昼飯のお礼ってことと、
見物料と、後は…口実料ってことで」
昼飯の礼は分かった。
後のふたつの意味が分からない。
「それより、神山、あっち」
木村が向いた方へ、視線を向ける。
数メートル離れた先に…
ベンチに座るふたりの女性。
こちらに気付いてないふたりは、談笑している。
昨日の泣き顔とは違う、自然な笑顔。
「……真…琴さん…」
居る筈のない真琴さんの姿に…
視線が釘付けになる。
「…木村…見物料の意味…分かったぞ…
口実料だけ、さっぱり分かんねぇ」
同じ方向に視線を向けたままの木村。
「…俺さ…沙紀が好きなんだ。
それも、かなり昔から。
沙紀とデート出来る口実になってくれて、
サンキュってこと」
口実の意味は分かった。
それよりも、今…木村は何て言った?
「…え!?い…や、だって…それ…って…」
木村のカミングアウトに、しどろもどろになる俺に、呆れた眼差しを向ける。
「お前が焦ってどうするよ…
禁断の恋とか抜かすなよ。
俺と沙紀、血繋がってねぇんだ」
何と返事をしていいか分からず、
唯、木村の顔を見ていた。
真剣な顔…
冗談を言ってるようには見えない。
「高校受験する時まで 、戸籍謄本見るで
は、俺も実の姉だと思ってて、
その禁断の恋に悩んだんだけどさ…
自分が、この家の本当の子供じゃないっ
て悲しむ気持ちより…沙紀と血の繋がりが
なかった事実に、喜びを感じた」
そこで一旦言葉を切る木村。
「でもさ、家族を苦しめる気持ちであるこ
とには、変わらなくてさ…
何とか、弟で在り続けようとしたんだ。
沙紀への想いに蓋して…目を逸らして。
そうすれば、誰も悲しまないし、傷付か
ない。いろんな女の子と付き合っても、
沙紀以上に想えなくて…
諦めることも出来ないのに、進むことも
出来なくて…すっげぇ、苦しくてさ…
だけど、神山見てたら羨ましくなって…
好きな女に真っ直ぐ気持ち向けること。
俺以上に、沙紀を想ってる男なんていな
い。だから…回り道すんのも、自分を偽る
のも辞めた。
誰かを悲しませることになっても…」
俺が知ってるいつもの木村と違う。
面白いって…こういうことか…
「良いんじゃないか?
諦められねぇから、想い続けて来たって
ことだろ?なら、もう進むしかない。
自分を抑えて、
本当の気持ちから逃げたって、後悔する
だけだ。
そんなの、らしくねぇだろ?」
俺の返答に、穏やかに笑う木村。
「…だよな……お!真琴ちゃんこっちに気付
いた‼……へぇ~」
そう言ってふたりに、手を振る木村。
最後の『へぇ~』って何だ?
真琴さんは俺達に気付いて…俺と目があった途端…数秒後に俯いた。
ぐさっと、心に何かが刺さったような
そんな…気持ちになる。
「…地味に落ち込んでんの?」
「煩い…分かってんなら、訊くな」
俺に対しては、このにやけ顔止めるつもりはないらしい。
平常心なら、気にしないが…
今は無性に腹が立つ。
「近くに行けば、落ち込む必要ねぇの、
分かる。ほら、行くぞっ‼」
いやいや、あんなふうに俯かせちゃう俺が近付くのは、良くないだろっ‼
その場から動けない俺に、数歩先に進んだ木村が振り返る。
「今更怖じけずくのか?
…進むしかない…だろ?」
木村の言葉に、背中を押され、歩き出す。
「あと、俺、今沙紀に孟アピール真っ只中
だから」
沙紀さんに気持ちを伝えたってことか…。
と、安易に考えていた。
百戦錬磨のこの男の行動に、翻弄されるまであと数分。
木村に黙って付いて来たが…
目的地に着き、呆然とする。
どう見ても此処は…
「なぁ…男ふたりで来るとこじゃないんじゃ
ないか?」
「そうだな、俺も神山とふたりだけなら、
遊園地には来ねぇわ。
ほら、フリーパス」
俺が呆けてる間に、どうやら買ってきたらしい。
「つーか、金払う」
いくらダチでも、奢って貰う訳にはいかない。
「いらない。昼飯のお礼ってことと、
見物料と、後は…口実料ってことで」
昼飯の礼は分かった。
後のふたつの意味が分からない。
「それより、神山、あっち」
木村が向いた方へ、視線を向ける。
数メートル離れた先に…
ベンチに座るふたりの女性。
こちらに気付いてないふたりは、談笑している。
昨日の泣き顔とは違う、自然な笑顔。
「……真…琴さん…」
居る筈のない真琴さんの姿に…
視線が釘付けになる。
「…木村…見物料の意味…分かったぞ…
口実料だけ、さっぱり分かんねぇ」
同じ方向に視線を向けたままの木村。
「…俺さ…沙紀が好きなんだ。
それも、かなり昔から。
沙紀とデート出来る口実になってくれて、
サンキュってこと」
口実の意味は分かった。
それよりも、今…木村は何て言った?
「…え!?い…や、だって…それ…って…」
木村のカミングアウトに、しどろもどろになる俺に、呆れた眼差しを向ける。
「お前が焦ってどうするよ…
禁断の恋とか抜かすなよ。
俺と沙紀、血繋がってねぇんだ」
何と返事をしていいか分からず、
唯、木村の顔を見ていた。
真剣な顔…
冗談を言ってるようには見えない。
「高校受験する時まで 、戸籍謄本見るで
は、俺も実の姉だと思ってて、
その禁断の恋に悩んだんだけどさ…
自分が、この家の本当の子供じゃないっ
て悲しむ気持ちより…沙紀と血の繋がりが
なかった事実に、喜びを感じた」
そこで一旦言葉を切る木村。
「でもさ、家族を苦しめる気持ちであるこ
とには、変わらなくてさ…
何とか、弟で在り続けようとしたんだ。
沙紀への想いに蓋して…目を逸らして。
そうすれば、誰も悲しまないし、傷付か
ない。いろんな女の子と付き合っても、
沙紀以上に想えなくて…
諦めることも出来ないのに、進むことも
出来なくて…すっげぇ、苦しくてさ…
だけど、神山見てたら羨ましくなって…
好きな女に真っ直ぐ気持ち向けること。
俺以上に、沙紀を想ってる男なんていな
い。だから…回り道すんのも、自分を偽る
のも辞めた。
誰かを悲しませることになっても…」
俺が知ってるいつもの木村と違う。
面白いって…こういうことか…
「良いんじゃないか?
諦められねぇから、想い続けて来たって
ことだろ?なら、もう進むしかない。
自分を抑えて、
本当の気持ちから逃げたって、後悔する
だけだ。
そんなの、らしくねぇだろ?」
俺の返答に、穏やかに笑う木村。
「…だよな……お!真琴ちゃんこっちに気付
いた‼……へぇ~」
そう言ってふたりに、手を振る木村。
最後の『へぇ~』って何だ?
真琴さんは俺達に気付いて…俺と目があった途端…数秒後に俯いた。
ぐさっと、心に何かが刺さったような
そんな…気持ちになる。
「…地味に落ち込んでんの?」
「煩い…分かってんなら、訊くな」
俺に対しては、このにやけ顔止めるつもりはないらしい。
平常心なら、気にしないが…
今は無性に腹が立つ。
「近くに行けば、落ち込む必要ねぇの、
分かる。ほら、行くぞっ‼」
いやいや、あんなふうに俯かせちゃう俺が近付くのは、良くないだろっ‼
その場から動けない俺に、数歩先に進んだ木村が振り返る。
「今更怖じけずくのか?
…進むしかない…だろ?」
木村の言葉に、背中を押され、歩き出す。
「あと、俺、今沙紀に孟アピール真っ只中
だから」
沙紀さんに気持ちを伝えたってことか…。
と、安易に考えていた。
百戦錬磨のこの男の行動に、翻弄されるまであと数分。