GENERATIONS LOVE
【side 修二】


木村に促され、
真琴さん達の方へ歩いていく。


「真琴ちゃん、久し振りだね」


木村の声に振り向いた真琴さん。
真琴さんが俺を見た瞬間……
朱色に染まっていた頬が、もっと色を濃くする。


その反応に、落ち込んでいた気持ちが一気に浮上する。


真琴さん……
その顔は反則だよ……
めちゃめちゃ可愛すぎる。


そんな真琴さんに釘付けになっていたら、
木村がどんどん沙紀さんを、壁際まで
追い詰めている様子が目に入る。


その様子に、はらはらしている真琴さん。


所謂、壁ドンとやらで、沙紀さんの逃げ場を無くした木村の、次に取った行動に、


「……っ!?え……!?」


「……っ!?」


真琴さんと同時に息を飲む。
木村の言った見物料って……こっちかよっ‼
いくらカミングアウトしてたって、
驚くっつーの‼
ダチのキスシーン…
してる奴より、見てる方が照れるし。
きっと俺と真琴さん居るのなんて、
頭から抜けてんだろう。


攻め立てるような、性急なそれは、
木村が、
本気を沙紀さんにぶつけているから。
それと、
外野も気にせずに、
沙紀さんとのキスに夢中になってる感も、否めないが……


好きな人に触れたら…
真琴さんに触れたら、俺だってきっと──


これ以上は、目の毒だと思い、そっと真琴さんの肩に触れ、声を掛ける。


「真琴さん、先に中に入ってようか?」


真琴さんの手を取り、軽く上に引く。
手を繋いだまま、入場口に向かう。


何を話したら良いか分からず、沈黙のまま歩く。
どうすんだ、この微妙な空気。
木村の馬鹿がっ‼


でも──
今、俺……真琴さんと手繋いでるんだ。
真琴さんが俺をどう思ってくれているか、
分からない今は、俺はこれで十分かな……


真琴さんのぬくもりが掌から伝わる。
それは、俺にとって凄く幸せなこと。
< 60 / 77 >

この作品をシェア

pagetop