GENERATIONS LOVE
冷蔵庫から、ベーコン、人参、玉葱、
セロリ、ニンニクを取り出す。
これらを全てみじん切りにし、フライパンにオリーブオイルを入れ、中火で炒める。


しんなりしてきたな。


弱火にして焦がさないよう、気を付けながら15分炒める。


問題はソースの煮込む時間。
通常なら、1時間は必要。


「総一朗さん、圧力鍋ありますか?」


「調理台の下にあるよ!」


「お借りします」


炒めた具材を圧力鍋に移す。
空いたフライパンに挽き肉を入れ、両面に焼き色が付くまで焼く。
きっちり火が通ったら、ほぐす。
次に赤ワインを入れ、肉の脂とワインが交ざったら、それも圧力鍋へ。


トマト缶、ローリエ、オレガノ、
オールスパイス、岩塩、ナツメグを入れ、
圧力鍋を火にかける。


直ぐにパスタを茹で始める。
8分茹で、パスタの固さを確認。
少し固めくらいで良いだろう。
湯切りしたパスタにソースをかけ、
胡椒で味を整える。


大きめの皿に盛り付ける。
4皿くらいあれば、足りるかな。


「総一朗さん、キッチン貸して下さり、
有難うございます。これ、総一朗さんの
分です。良かったら」


「ありがとう!早く持ってきな」


「はい、失礼します」


左腕に同時に4皿持ち、宴会場へ戻る。
廊下に響く程、盛り上がっている。
室内に入ると、一斉に注目を浴びる。


「修二先輩、
何でアラカルトのコックコート着てるん
ですかっ!?
まさか……アラカルトに転……ぐっ!?」


あ……コックコートのまま、
戻 ってきてしまった。
何か谷山が言い掛けたところで、茜ちゃんが谷山の脇腹をグーで、パンチしていた。
あれは、地味に居たいだろう。


森田さんの前にボロネーゼの1皿を置く。


「森田さん、作ってきました。どうぞ」


他のテーブルにも、
出来立てのボロネーゼの皿を置く。
森田さんが一口、口に運び…じっくりテイストする。


「皆も食べてみて」


森田さんがスタッフ全員に声を掛ける。


「あ……ドルチェの味……」


一口食べた真琴さんがそう言う。


「本当だっ、まさかアラカルトでドルチェ
のボロネーゼ食べれると思わなかった‼」


「マジっ、旨いっす」


「美味しい」


次々に賞賛の声が聞こえてくる。


「皆の反応が答えだよ。でも、よく時間の
かかるソース、作れたね」


「圧力鍋お借りしました」


「なるほどね、さすが俺の子」


たまには、森田さんの冗談に乗っかってみるか。


「……親父って呼びますか?」


「せめて、お父さんが良いなぁ」


乗っかった挙げ句、更にハードル上げてくるって……にこにこ笑顔の森田さん。


「詳細については、後日話しよう」


「分かりました」


とりあえず、テストは合格。
これで約束は守れそうだ。
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