八百屋LOVERS
は?まだわかんないの??夏樹じゃあるまいし…と希子がつぶやく。
夏樹は未だにこぼれたいちごみるくを
拭いているようで、今さり気なくディスられたことすら気づいていない。
「…で?つまりはどうなるの?」
「息子よ。」
そう言って、希子はチラシを握り、私の机の上に叩きつける。
それに驚いた夏樹が、やっと拭き終わった床の上に、またイチゴルクを落とす。
それでも、あぁぁぁぁ!!!と悲鳴をあげる夏樹の声など聞こえないほどに大きな声で
希子が叫んだ。
「きっと、家業を継いだわりとダンディーな息子がオーナーに違いないってこと!!」
決まった…と言わんばかりの希子のドヤ顔と
またいちごみるくをこぼして絶望している夏樹をのぞいて
教室の全員が、静かになった。