それはきっと、君に恋をする奇跡。


「陽菜ぁっ!?」


「きゃっ……!!」



倒れるっ……!


咄嗟に手を伸ばしてくれたの真由ちゃんの手を掴もうとしたけど。


重力には逆らえなくてそのまま後ろに振られ、なにかにぶつかった。



「いてっ」



低い声が聞こえて。


はっとして顔をあげると、長身の男の子があたしを見下ろしていた。



わっ、イケメン……。



目の前には、一般的にイケメンと言われるであろう整った顔。


栗色で緩くパーマがかかったふわふわしたオシャレな髪に、耳元にはシルバーのピアスが光っていた。


制服は同じだけど。


先輩……かな?



中学のときの同級生とは格段に違う大人っぽさと色気。


高校生にもなると、こんな風にあか抜けるものなの?


まるで雑誌の中から飛び出してきたみたいな彼に目が釘付けになる。

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