それはきっと、君に恋をする奇跡。
「……陽菜、陽菜ッ!」
「……」
「こら、陽菜ッ!」
……はっ!
やばい、見惚れちゃった。
真由ちゃんに呼ばれてこっちの世界に戻ってくる。
「ごっ、ごめんなさいっ!」
我に返ってあわてて謝ると。
「足」
「へっ?」
「……足、踏んでるんだけど」
「っ!」
見ると、あたしの靴が彼の靴の上にしっかり乗っていた。
「わーっ、ごめんなさいっ!!」
やだやだ。
ほんと思いっきり踏んでるし!
あたしは飛び上がるように退いて。
ポケットからハンカチを出すと、黒光りする彼のローファーに「ふーふー」と息を吹きかけゴシゴシこすった。
ピカピカだし、もしかして新品……!?
ああ、どうしようっ。