それはきっと、君に恋をする奇跡。


「もっとしっかり声を出して!3学期にはクラス対抗の合唱祭があるのよ。桜園高校では伝統行事なんだから、今からちゃんとやっておかないとダメよ!」



先生がそう言うと、



「えー、マジかー」


「合唱祭とかめんどくさい」



一気にブーイングが噴出。


ゲンキンなもので歌っている時より今の方が何倍も元気。



「ステージで歌うとか恥ずかしいよねー」


「だね。あたしもイヤだな」



あたしも真由ちゃんと不満を口にする。


授業で元気に歌っていたのは小学生まで。

中学生のころからみんな人前で歌うのを恥ずかしいと思うようになって、ちゃんと歌ってる人は少なかった。


とくに合唱ってなると地声じゃダメだし、だからって裏声を出すのは恥ずかしいし……。



「はーい、じゃあもう1回行くわよー」

< 123 / 392 >

この作品をシェア

pagetop