それはきっと、君に恋をする奇跡。


入学早々イケメン先輩の足を踏んづけちゃったなんて!


あたしの高校生活……終わった……!?


ちょっとパニックになりながら必死になって拭いていると、彼は足を退けた。



「いーよいーよ。靴なんてどーせ汚れるんだし」



くしゃっと笑うその顔は、さっきまでの大人びた表情からは一転。


ものすごく人懐っこいオーラがにじみ出ていた。



「……あ」


「おもしれーな、アンタ」



むしろ、笑ってる。



……よかった。


これでとりあえず高校生活に支障はない……よね?


優しい先輩でよかった。



「じゃあなー」


「……すみませんでした」



もう一度その場でつぶやいて、歩き出した彼の背中を見つめていると。



「あー……」



彼は足を止め、思い出したように振り返った。
< 13 / 392 >

この作品をシェア

pagetop