それはきっと、君に恋をする奇跡。
入学早々イケメン先輩の足を踏んづけちゃったなんて!
あたしの高校生活……終わった……!?
ちょっとパニックになりながら必死になって拭いていると、彼は足を退けた。
「いーよいーよ。靴なんてどーせ汚れるんだし」
くしゃっと笑うその顔は、さっきまでの大人びた表情からは一転。
ものすごく人懐っこいオーラがにじみ出ていた。
「……あ」
「おもしれーな、アンタ」
むしろ、笑ってる。
……よかった。
これでとりあえず高校生活に支障はない……よね?
優しい先輩でよかった。
「じゃあなー」
「……すみませんでした」
もう一度その場でつぶやいて、歩き出した彼の背中を見つめていると。
「あー……」
彼は足を止め、思い出したように振り返った。