それはきっと、君に恋をする奇跡。


思わず目をパチクリさせる。


じゃないと、吸い込まれてしまいそうだった。


その瞳があまりにも真っ直ぐすぎたから。



「俺は、陽菜を元気づけるために出会ったのかもな」



……ただの軽い言葉じゃなかった。


すごく当たり前のように、あたしとの出会いを素直に喜んでくれてい
る。



「一期一会って……。水瀬く、蒼って案外詩人だねぇ……」



そんな風に茶化しちゃったけど。


あたしはちょっと自分が恥ずかしかったんだ。



ハルくんがいないなら、桜園高校に来た意味なんてなかった……なんて思ったこと。


それは、ここで出会った人たちすべてを否定することとおなじだよね。


あたしとの出会いを喜んでくれてる人の存在なんて考えもしないで。


それは、蒼との出会いをも否定する。



やっぱり神様はちゃんといて。


桜園高校で蒼に出会ったもの、きっと意味があったんだ。



「"ハル"がいなくても、陽菜が桜園高校に入って経験すること、出会う人たち。それは、これからの陽菜に必ず意味をもたらしてくれるはずだよ」

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