それはきっと、君に恋をする奇跡。
「あ、あああああっ…………」
全身がかあっと熱くなって恥ずかしさがこみ上げる。
金魚の様に口をパクパクさせながら、彼を凝視していると、
「正しくは、"フフフ~ン、フフ~フフフ~ン♪"だよね?」
「うぅっ……」
鼻歌のくせに音感があることが一発で分かるキレイなメロディー。
鼻歌を聞かれてたのはいいとして、音程を指摘されるなんて穴が合ったら入りたいよっ……。
「じゃあね~」
彼は得意げに手をヒラヒラと振ると、今度こそ振り返らずに前を歩いて行った。
「うー……」
あたしはその場にしゃがみこむ。
足を踏んだのを許してくれて優しいと思ったことや、キレイで見惚れたこととか全部ふっとんで。