それはきっと、君に恋をする奇跡。
大切な人
「……おはよ」
昨日の今日で蒼に顔を合わせるのは少し緊張した。
その緊張を悟られないように平静を装って声を掛けたのに。
「おーっ!陽菜から挨拶してくるなんて珍しいな」
「そ、そう!?」
やだあたし。
ついうっかりしちゃった。
いつもしない挨拶を自分からしちゃうなんて墓穴掘りまくりだよねっ。
あたふたするあたしを横目で見て笑った蒼は、
「今日は雨が降るぞー、イヤ傘じゃ間に合わないくらいの豪雨かもな!」
そんな軽口を大きな声で放つ。
もうっ、バカにして……。
すると、
「今日は雨なんて降らないよ!」
「予報だと一日晴れって言ってたよねー?」
「蒼ってばおかし~」
あっという間に取り囲まれた女のたちに、あげあしという名の寵愛を受ける。