それはきっと、君に恋をする奇跡。
……なんなのよ、まったく。
でもそんな蒼だから、変に意識なんてせず普通にいられるんだと思う。
昨日の別れ際の不思議な感覚なんて、一気にふっとぶ。
お喋りに花を咲かせるその集団に目をやれば。
蒼は男女誰にも分け隔てなく明るい笑顔を振りまいている。
みんなの顔も同じように笑顔。
それは生まれ持った天性の明るさで、周りに花を咲かせる力があるから。
……蒼は……みんなのビタミンだよ……。
あたしだけが特別なんじゃない。
落ち込むあたしに元気を分けてくれたんだよね。
もう、勘違いなんてしない。
ハルくんから受けていた特別だったはずのことですら、特別なんかじゃなかったんだから。
……。
ハルくんのことを思うと、やっぱりまだ胸が痛んだ。