それはきっと、君に恋をする奇跡。
昼休み。
校内はざわざわと騒がしい。
入学してすぐ化学係になったあたしと真由ちゃんは、準備室で午前に行った実験道具の片付けをしていた。
さっき洗っておいたビーカーやフラスコが乾いたから、それを定位置に戻していく。
「そうそう、陽菜」
思い出したように真由ちゃんが聞いてきた。
「昨日カラオケ行ったの?」
一瞬ビクッとしたけど。
「……あ、結城くんたちのグループと?あたしは行ってないよ」
蒼がいなくても、結城くんをはじめとしたメンバーたちはカラオケに行ったようで、朝から教室内はその話で持ちきりだった。
真由ちゃんが聞いてるのはそのことだろうと、手を動かしながら答えると。
「じゃなくてさ、蒼と」
ギクッ。
なんでっ、なんで知ってるの……。