それはきっと、君に恋をする奇跡。


昼休み。

校内はざわざわと騒がしい。


入学してすぐ化学係になったあたしと真由ちゃんは、準備室で午前に行った実験道具の片付けをしていた。


さっき洗っておいたビーカーやフラスコが乾いたから、それを定位置に戻していく。



「そうそう、陽菜」



思い出したように真由ちゃんが聞いてきた。



「昨日カラオケ行ったの?」



一瞬ビクッとしたけど。



「……あ、結城くんたちのグループと?あたしは行ってないよ」



蒼がいなくても、結城くんをはじめとしたメンバーたちはカラオケに行ったようで、朝から教室内はその話で持ちきりだった。


真由ちゃんが聞いてるのはそのことだろうと、手を動かしながら答えると。



「じゃなくてさ、蒼と」



ギクッ。


なんでっ、なんで知ってるの……。

< 153 / 392 >

この作品をシェア

pagetop