それはきっと、君に恋をする奇跡。

……え。

そうなの？



「だったらあたしと付き合ってください。友達からでもいいですっ……」



女の子は蒼の答えを聞いてぐいぐい攻めていく。


好きな子がいないって言われたら、このまま引き下がれないよね。


大人しそうに見える子なのに、恋の力ってすごいなあ。


このまま勢いでつき合ちゃったりするのかな……と思ったとき。



「曖昧にして期待を持たせたら悪いからハッキリ言うね。好きな子はいないけど、大切にしたいと思ってる人がいるんだ。だからごめん、キミとは付き合えない」



……っ。


息を飲んだのは、その女の子だけじゃなかった。



……大切にしたい人？



好きな子がいると言われるよりも、重い言葉に聞こえた。