それはきっと、君に恋をする奇跡。
「はよっーっす!!」
蒼が登校してきたのは、お昼休みのことだった。
まるでこれから1時間目がはじまるかのように、軽いノリで挨拶をしながら。
「来た来た!いま何時だと思ってんだよ」
「全然早くないしー」
結城くんや、あっという間に集まった女の子たちから突っ込まれる。
「お前が遅刻なんてどーしたんだよ」
「寝過ぎた!」
いつもと変わりなく元気な蒼。
やっぱり10人一気に現れたかのように教室はうるさくなる。
具合が悪いわけじゃなかったんだ。
……よかった。
「寝過ぎたって、もう昼だぞおい!」
「目が腐るぞ~」
「はははっ、腐ったらお前のと取り換えてくれよな~」
茶化す結城くんたちにいつもの調子で返しながら、こっちに向かってくる蒼。