それはきっと、君に恋をする奇跡。


「はよっ!陽菜」


「うん、おはよ……って、おはようの時間じゃないし。どうしたの?」



席に着いた蒼に、あたしは問いかけた。



「んー?」


「寝坊なんて、めずらしいね」



聞きながら、蒼の様子を観察すると。


なんだかいつもと様子が違う。

少し顔はむくんでいて、そのせいか目も腫れぼったい、少し充血もしてるような……。


ハルくんのことでたくさん泣いた翌日、こんな風になった自分を思い出す。



もしかして蒼、泣いたの……?



「遅くまで漫画読んでたから起きれなくってさ~」


「……漫画?」


「それが超感動モノでさ!もうボロ泣き!」



自分から泣いたことを暴露する蒼。



なんだあ。

泣いたっていっても、その理由が漫画だったなんて……。
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