それはきっと、君に恋をする奇跡。


「でね~そのとき久保先輩ったら……陽菜……?」


「……」


「聞いてますかー」


「……っ」



目の前で手のひらが振られて我に返る。



あっ……。


今は休み時間で。

真由ちゃんが、昨日久保先輩と一緒に帰ったっていう話を聞いていたんだった。



「ご、ごめんね?それで?」


「もー、さっきからどこ見てるの?」



真由ちゃんはすかさずさっきのあたしの視線を追って。



「あ、まさか!」



ひらめいたような顔をしたあと、



「蒼を見てた、とか?」


「えっ!?ち、ちがうしっ……」


「そんなにムキにならなくっても……。いいじゃん、蒼を見てたって」



あたしにこしょこしょと耳打ちする真由ちゃん。


すっごいうれしそうにニコニコして。

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