それはきっと、君に恋をする奇跡。



「だから、スマホばっかり見て、どうしたのかなって……」


「あー、最近面白いアプリ入れてさ、それが気になって確かに見てるかもなー。そうだ、今度陽菜のにも入れてやるよ」



なんて言いながら、スマホをポケットにしまう。



「……うん」



……ウソつかれた。


楽しいアプリを見てる顔なんかじゃなかったよ。


チクリと痛む胸。



それ以上突っ込む気力も、それを指摘する勇気もなくて、また前を向く。


だけど授業になんて集中できない。



……どうしてウソなんてつくの?


気になって仕方ないよ……。




またこっそり蒼の顔を盗み見すると。


もうスマホは触っていなかったけど、窓の外の一点を見つめていた。


どこか思いつめたような視線で。
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