それはきっと、君に恋をする奇跡。
ピアス
「あーだりいっ!」
「文句言わないの」
あたしは今日、蒼と日直だった。
放課後残って教室を整理整頓するという作業に蒼は不満顔。
こういうの、真面目にやりそうなタイプじゃないもんね。
ダラダラと黒板を消す蒼に笑みをこぼしながら、あたしは机と椅子を整える。
クラスメイト達はすでに帰宅したあとで、教室にはあたしと蒼のふたりきり。
今日はいつも通りの蒼。
やっぱり……あたしの思い過ごしなのかな。
蒼に悩みなんて無縁な気がする。
整理整頓が終われば、仕上げの日誌書き。
「陽菜って、女子って感じの字を書くんだな」
シャーペンを走らせていると。
上から覗きこまれて、蒼の腕があたしの肩に触れた。