それはきっと、君に恋をする奇跡。
ドキッ。
広い教室の一角でこんなに身を寄せ合って。
体中がぶわっと熱くなって、心臓が暴れ出す。
「……っ、続きは蒼が書いてねっ……」
そんな感情に耐えられなくて、押し付けるように日誌とペンを突き出すと、
「はいよ~」
蒼は素直にそれを受け取って、残りの部分を書いて行く。
左利きの蒼。
少し右上がりの角ばった文字。
そういう蒼だって、典型的に男の子の字だよ。
下手じゃないけどそれほど上手ってわけでもない。
ふふっ。
蒼らしい字だな……。
「……ん?」
視線を感じて顔をあげれば。
蒼が頬杖をつきながら、あたしを見ていた。